ある日の診察室で

  K「最近どうですか?顔色があまり良くないようですけど。」
 D「いや、大丈夫ですよ。」 K「ちゃんと食べてますか?働きすぎじゃないの?」
 D「いや、食べてますし、睡眠も摂れてますよ。」 K「そお。じゃあ、いつもの薬お願いね。先生、無理しないようにね。」
 D「ん〜?Kさん、あなたが患者でしょう?具合はどうなんですか?」
K「あたしは大丈夫よ。先生が倒れると、あたしたちが困るんだから、無理しないようにね。」
  そうなんです。ちょっと聞くと、医師(K)と患者(D)の会話のようですが、実はDが医師で、Kが患者なんです。
 Kさんは開業以来の患者さんで、高血圧の持病のある年輩の女性なんですが、いつもこんな調子で、私の身体の方を気遣ってくれます。
 ありがたいんですが、「いったいどっちが患者なんだ?」と、時々思います。